ヘンプとは人間にとって <火> みたいなものだ。
その扱い手によって素晴らしい力を発揮するし、人に害を及ぼす存在にもなりうる。
そんな <火> に出会ったのは2016年の冬だった。その頃の僕は、心身ともにズタボロで自分を癒す秘薬でも求めるかのように様々な治療家の元を訪れる日々を送っていた。
それまで僕はファッション業界で働いていて、SNSによって加速度的にスピードを上げていくトレンドを必死で追いかけながら、寝る間を惜しんで仕事をしていた。毎月のよう12時間以上のフライトでヨーロッパに出向き、帰国しても当たり前のように日付が変わるまで仕事をする日々。
自分でも不自然な生活だと頭の片隅で思いながらも、そんな不自然な日常を省みることもできず、ただ猛スピードで変わりゆく目の前の情報を必死に追いかけ続けていた。車も人もトップギアで走り続けると壊れるのは当然の話で、僕の身体は見事に壊れた。
そこからは地獄のような日々だった。身体のバランスを司る自立神経の機能が根本から壊れてしまったようで、呼吸や排泄さえもまともにできず思考はまどろみ、身体中が痛んだ。そして記憶も失った。夜になると繰り返し悪夢とパニック症状が攻め立て、死んだ方がましかにも思える日々が続いた。
それでも身体の奥底から小さく発せられる「生きたい。」という生存欲求だけを頼りに、僕は再び立ち上がり治療家を訪れる旅を始めた。
国内での治療だけでは飽き足らず、スリランカのアーユルヴェーダ施設や、台湾やタイの伝統医療、ロンドンやニューヨークまで良い治療家の話を耳にすれば現地まで足を運んだ。生きるのに必死だった。
そして2年にも及ぶ長き治療の旅の途中、僕はバルセロナで完璧に <火> を使いこなす起業家に出会った。そう、彼は治療家ではなく、起業家だった。
Satoshi Matsumoto
1983年生まれ、鎌倉在住。
バンタンデザイン研究所卒業後、単身渡英しロンドンにてファッションブランドの運営に携わる。帰国後、欧州ブランドの国内展開、及び日本のブランドをパリコレへ誘致する業務に10年間従事。過労から重度の自律神経失調を患い、2年間社会からドロップアウトする。その間、身体を治療する目的で様々な治療家を訪れる旅を始め、その旅の途中バルセロナでEndocaのCEOのヘンリーと出会う。EndocaのCBD製品とヘンリーのヴィジョンに感銘を受け、日本でEndocaを広めようと事業を立ち上げる。Endocaの名の下に多くの人が集まり Endoca Japanを設立する。